【住宅設計の基本】安全な階段の注意点と寸法

「今までマンションだったから階段生活慣れてないんだけど、子供いても大丈夫?」
「高齢者夫婦の建替えでも安全な階段を教えてほしい」
「間取り提案受けたけど、階段って高さってどのくらいが安全なの?」

こんなお悩みや不安はありませんか?

階段の設計はどのハウスメーカーも安全性を基本に段の高さ(蹴上)や段の広さ(踏面)を設定されています。しかしながら、各営業や設計によっては間取りを優先するがあまり、急な勾配での階段を設計するケースも少なくありません。ただし、それらは平面図からはなかなか読み取ることが出来ません。
もちろん全体的な広さも上限もありますので一概には言えませんが、階段は住宅の中で唯一毎日上り下りする空間になります。その為、安全性の確認をする必要があります

ここでは階段を安全に使いやすく出来るようお客様自身が判断できるよう、わかりやすく解説します。

階段設計上の注意点

階段は事故発生の可能性が高く、また建築時は若くてもやがては高齢になることを考えると、
・形状
・明るさ
・手摺

など、住む人の安全を念頭に置いて考える必要があります。

階段は、日常の中で頻繁に使う生活動線のため、安全性の確保を最優先に考えましょう。

上体起こし(いわゆる腹筋運動を30 秒間にできる回数)では、若干の男女差はあるが60~65歳で、すでに6歳のレベルになるといわれています。
長座体前屈(膝を伸ばして座り前屈できる長さ)でも、年齢とともに数値が落ちています。
若い世代との比較データはないものの、65~69歳と75~79歳を比較すると、開眼片足立ち(目を開いて片足で立っていられる時間)では男女ともに50~60%程度の時間になっているし、10m障害物歩行や6 分間歩行のスピードも落ちている
また、15 才あたりをピークに、視力も年齢とともに落ちていく。

加齢とともに筋力、柔軟性、バランス感覚、視力などが低下していくことが如実にうかがわれる。

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階段の形状

【OKパターン
安全を考えると階段の形状は、Uタイプ(踊り場付)がよい。

【注意】
コーナー部が3段曲がりや6段曲がりの階段は、
踏み外しの落下事故を起こしやすいので要注意。

上部での曲がり階段は特に注意を要する。

主要階が2階になる場合や3階建ての場合は、
昇降が頻繁になるのでよりいっそう安全への配慮を要する。
原則として緩勾配としたり踊り場を設ける

一般的には、エレベーターを設置した場合でも、健常者は階段利用が中心となるため、階段は日常利用を前提とした種類・配置としましょう。
もし、エレベーターの利用頻度が高いと思われるなら、階段は面積効率の有利なコンパクトなものにしても良いです。

≪階段の事故の内訳≫
国民生活センターが20の協力病院から得た事故情報のうち、50.8%は家庭内事故によるものであり、その深刻さがうかがわれる。

さらにその30.2%が階段・浴室・・・など家庭内設備によるものである。設備別では階段での事故が飛び抜けて多く、設備関連の事故の35.1%を占めている。

また要因別に見ても、ほとんどの世代で階段が1位になっている
厚生労働省:人口動態統計年報 主要統計表(最新データ、年次推移)

≪ワンポイント≫
二世帯同居などの必要に応じて2 階に玄関を設ける場合、(傾斜地など特殊なケースを除き)外階段が必要となる。

しかし、このようなメイン動線としての外階段は、荷物を持っての昇降時に危険を伴うため極力避けるようにする。

お客様が外階段を強く要望される場合、上の旨をご説明して内階段をお勧めするものとするが、それでもなお望まれる場合はやむを得ず可とする。

階段の手摺

◆ 階段での転落事故を防止するため、手摺を設置する。(法的にも必須)

◆ 設置位置の高さ → H=750㎜~800㎜
→ 品確法(性能表示制度における高齢者等配慮評価基準)では700~900 を基準としている。

◆ 手摺は、降りる際の利き手側に設置するのがよい。
ただし曲がり階段の場合、標準的には内側に手摺を設けるので、必ずしも利き手側とは限らない。
なお内側に手摺を設ける理由は
①内側の方が近道となるので内側を通る人が多いため
②廻り部は内側の方が危険であるため
である。

ライフサイクルを考えると、高齢者や子供が階段を利用する時期があると考えられるので、2段手摺を勧めるとよい。

階段の位置

◆ 階段の昇り口は、玄関から見えないところに設けるのが望ましい。
(女性で来訪者からの視線を気にされる方が多い)

◆ 1階寝室の近くに階段を配置しないよう配慮する。(共用二世帯住宅に多いケース)

階段のすぐ脇に寝室の出入口を設けることは避けるのが望ましい。
・生活時間帯の違いによる音への配慮。
・来訪者の視線に対する配慮。

階段ホール

◆ 階段の降り口(昇り口)の廻りには、最低910㎜×910㎜のスペースを確保し、そのスペースに開くドアは設けない。

階段の降り口に開くドアは、転落事故につながることがある。

階段降り口910㎜×910㎜のスペース内のドアは、内開きか引戸にする。

建具位置をずらせるなら、降り口からドアを控える。圧迫感もなくなり安全にも有効。

扉の吊元

吊元は、原則として階段の降り口側に設ける。

引き戸の場合も、階段側に引き込むのが望ましい。

ホール

◆ 910㎜×910㎜サイズのホールは、よほどの狭小プランは例外として、安全上避けるのが望ましい。

図のような2 階ホールは、ドアを内開きにすれば基準としてはOKだが、極力つくらない。

ホール廻りのドアを控え、ホールを広くする。

◆ 2 階ホールから各居室への動線が長くなるような設計は避ける。
特に2 階廊下は、中廊下になることが多く、長くすることは採光面でもよくない。

自然採光の確保

◆ 階段が外壁に面する場合は、階段室内に必ず開口部を設ける。

◆ 窓の位置は、開口部設置階(2 階・3 階)への採光に加え、階下への明るさも考慮する。

◆ 外観デザイン的に問題なければ、クレセントに手が届くように窓位置を下げる。

◆ 窓の位置によっては、ロープオペレーター式窓や電動式窓の採用も考える。

窓の種類

◆ 清掃性やプライバシーの確保を考えると、原則として型板ガラスが望ましい。

◆ 階段が連続する3 階建ての場合、2 階部に地窓を採用すると通風によい。

◆「縦長窓」は、設置階中央まで自然光が届きやすく、採光に有利。

ホールの窓

◆ 階段が外壁面に面しない場合、ホールに窓を設けたり、階段室内の採光にトップライトも考えたい。

◆ バルコニーの窓も、階段室の採光に効果的。

階段の照明計画

◆ 転落事故を防止できるよう、段板がはっきり見える照明の配置が必要。
単に明るくするだけでなく、照明器具の数量や設置位置にも配慮したい。

照明が片寄ると、腰壁で影になる部分ができる。

中央に設置し、左右均等に光があたるようにする。

左右両方に設置する。この場合、デザイン上、高さをそろえる。

◆ 照明器具は取り替えやすい高さ、肩に当たらない高さとし、踏板高さ+2200 程度が望ましい。(器具の形状により異なるので注意を要する。)
ブラケットの種類により、形状と照らす方向が異なるので、取付高さに注意する。

◆ 光源が直接目に入らないような器具がよい。

階段ホールの照明

◆ 階段昇り口・降り口は、安全を考え、明るくすることが大切。

フットライト

◆ 深夜の安全を考え、降り口、昇り口に、フットライトを設置する。
設置位置は下の図のような位置が望ましい。

スイッチ

◆ 階段照明のスイッチを、廊下等のスイッチと同一にする場合は、必ず順番を合わせる

階段のスイッチは上下で3 路スイッチになる。
スイッチプレートを、他のスイッチと共用する場合、順番を合わせて設置する。

階段照明をもっと学ぶならこちら⇩
【照明計画】誰でもわかる階段の照明配置

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