【今更聞けない】ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いとは?

ユニバーサルデザインとバリアフリーについて

高齢者対応、身障者対応を考慮したデザイン(設計)のあり方として、
「ユニバーサルデザイン」と「バリアフリー」という用語が流布しているが、これらは曖昧に用いられています。

ユニバーサルデザインとバリアフリーは、異なる概念・コンセプトを持っていますが、出発点がユニバーサルデザインであっても、バリアフリーであっても、結果として同じようなモノがつくられることがあるので、なおさら混同されやすい。

ここでは、ユニバーサルデザインとバリアフリーについて、住宅に限らず、一般的な意味内容について整理しておきましょう。

ユニバーサルデザイン(Universal Design、UD と略記する場合あり)

ユニバーサル(universal)=「普遍的な、全体の」という意味であり、ユニバーサルデザインとは「すべての人のためのデザイン」を示す。
年齢、障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるようになされたデザインのことである。

ユニバーサルデザインは1980 年代にノースカロライナ州立大学(米)のロナルド・メイス氏によって明確にされ、7つの原則が提唱されている。

1.誰にでも使用でき入手可能(公平性)

2.柔軟に使用できる(自由度)

3.使い方が容易にわかる(単純性)

4.使い手に必要な情報が容易にわかる(わかりやすさ)

5.間違えても重大な結果にならない(安全性)

6.少ない労力で効率的に、楽に使える(省体力)

7.アプローチし、使用するのに適切な広さがある(スペースの確保)

バリアフリー(Barrier Free)

バリアフリーとは、人を隔てたり、行動を妨げたりする障壁(バリア)を除去した状態をあらわす言葉で、1974 年の国連障害者生活環境専門会議の「Barrier Free Design」報告書で建築用語として登場した。

現在ではバリアの意味が拡張され、平成7 年(1995 年)版「障害者白書」で定義された4つのバリア(物理的バリア、制度のバリア、文化・情報のバリア、意識のバリア)を除去したデザインのことを示す。

障害者基本計画

平成14年12月に『障害者基本計画』が策定された。ここではユニバーサルデザインとバリアフリーを下記のように定義している。

また、『障害者基本計画』においては、公共住宅について「バリアフリー化された住宅ストックの形成を推進する」と謳われているが、公共住宅に限らず、ユニバーサルデザイン住宅、バリアフリー住宅を社会的ストックとして考えていく姿勢が大切である。

【参考】バリアフリー・ユニバーサルデザインに対する施策の動き

ユニバーサルデザインとバリアフリーの違い

現在、バリアフリーという言葉はさまざまな場面で使われ、さまざまな使われ方をしています。

ところが、バリアフリーという言葉が示すとおり、現にバリアは存在し、そのバリアを取り除くという発想に陥りがちです。たしかに、バリアフリーは「障害者や高齢者など特定の人に対する、特別な対策」であるため、すべての人々の多様な関係や平等性、見た目の自然さにまで踏み込まないという問題点が指摘されるようになっています。

たとえば、エレベータの設置はバリアフリーであるが、そのエレベータがどこにあるのか分からなかったり、遠回りしなければエレベータに乗れないなど場合は、「誰でもが使える」ことを考慮すべきユニバーサルデザインとは言えません。

下に、ユニバーサルデザインとバリアフリーの捉え方のイメージを示す。

また、下記はユニバーサルデザインとバリアフリーを比較したものである。

このように、ユニバーサルデザインとバリアフリーの概念は異なるが、社会の趨勢として、バリアフリーからユニバーサルデザインへと人々の観点が移行してきています。

そもそも、ユニバーサルデザインという概念自体が、バリアフリーへの疑念から生まれたものであるため、バリアフリーはネガティブな印象を与えるものとなっています。しかし、現実にバリアはたくさん存在しているので、それを取り除くことも、デザインや設計にかかわる者の重要な仕事です。

住宅とユニバーサルデザイン

デザイナーや設計者にとっては、自分たちがデザイン・設計しているモノが、問題なく使えるモノになっているかが重要なことである。だから、自分たちがつくっているモノが、ユニバーサルデザインであるか、バリアフリーであるかを、強く意識する必要はない。

ユニバーサルデザインは「誰でもが使える」ことを求めるが、規模、予算の制約があり、同時に利用者が限られている住宅設計については「誰でもが使える(生活できる)」計画は不可能であるし、必要であるとは限らない

たしかに正しい意味の「ユニバーサルデザイン」とは言えなくなる場合もあるが、ユニバーサルデザインの問題点でもあげたように、個人個人で異なる障害への対応は困難で、特に住宅のように利用者(=住み手)が限定されたものにおいては、ユニバーサルデザインをつきつめてしまうと、かえって住みづらい家になったり、無用なコストアップを招いたりする恐れがあります。

特に身体障害者対応のデザインや設計は、それぞれ障害に合わせた設計やデザインを施すこととなる。あくまでも「お客様のための」住宅を設計することが目的である。

時間軸で捉えるユニバーサルデザイン

上述のように、ユニバーサルデザインの考え方は、主に公共の場所、不特定多数の人が使う空間や物をデザインするときに重要であるが、一方、住宅の場合は、一般的な意味でのユニバーサルデザインを施そうとすると、かえって住みづらいものになったり、無駄になったり、コストが上がるだけだったりする場合がある。

そこで、住宅におけるユニバーサルデザインを、「その家に住む人が将来にわたって住みやすい」=「家族構成の変化や家人の年齢変化に対応できる柔軟性」と捉えると、そのときどきの状況に応じて住み方や各空間の使い方を変えられる設計をする、というアイディアが生まれてくる。このように、利用者が限られている住宅の場合、居住期間に起きるさまざまな状況に対応できるようにすることもユニバーサルデザインと捉えてよいだろう。

社会の高齢化・日本人の長寿化に伴い、バリアフリー化やユニバーサルデザイン化の必要性は高まっている。現時点ではリフォームで対応している場合が多いが、大規模なリフォームには予算の制約などから、なかなか踏み切れない場合もある。

よって、新築時に、お客様が長い将来にわたる自分たちの変化を意識していなくても、当初から少々の模様替えや改築で高齢化に対応できるようにしたり、あるいは、子供の成長やエンプティネスト化などに備えておくことなど、お客様一家の経年変化を念頭に置いて、設計を進める姿勢も大切で

※エンプティネスト=子育てが一段落して子供が全員家を出ていってしまった夫婦だけの家

【事例・可変対応プランの概要】

事例・A

子育てファミリーが、高齢者同居を経て、エンプティネスト化する過程でのライフスタイルの変化を受け入れる可変性をもたせた例。

事例・B

可変対応プラン・1と同等の子育てファミリーのための3 階建て住宅。

高齢化対応時に、ワンフロア完結とするには面積に余裕がない場合、エレベータでの上下移動を前提とした可変性をもたせた例。

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