マイホームを売るとき、買いかえるときの税金マニュアル

■所得税、住民税がかかりますが、3,000万円の特別控除や買いかえ特例などの有利な制度が利用できます。

居住用には「3,000万円の特別控除」税率は所有期間によって異なる

マイホーム(居住用財産)を売ったときの醸渡益(注)にかかる税金は、他の土地・建物の売却と異なり、特例によって軽減されます。

■一般的には、3,000万円特別控除の特例」があり、所有期間によって税率が異なります。

■10年超所有の場合は「特定の居住用の買いかえ特例」が選択できます。

(注) 譲渡益とは、売却代金からその土地や住宅の取得費、譲渡費用など必要経費を引いたものです。

※相続により取得し一定要件を満たした空き家の譲渡に3,000万円の特別控除が適用されます。
※左記特例は「住宅ロ―ン減税」「投資型減税」とは併用できません。

また配偶者居住権を売却するときも左記特例は利用できませんが収用などの特例は適用されます。

3,000万円の特別控除の特例は、譲渡益から3,000 万円を控除し、その残額に対して課税されます。

  • 売却代金-土地建物の取得費-譲渡費用=譲渡益
  • 譲渡益-3,000万円=課税所得
  • 課税所得×税率=税額

つまり譲渡益が3,000万円以下なら、税額はゼロとなります。そして譲渡益が3,000万円を超して課税所得が出た場合には、そのマイホームの所有期間によって大きな差があり、次の3つの区分に分けられています。なお、この所有期間は売却した年の1月1日現在でみることになっています。

  • 5年以下所有の住まいの売却:短期譲渡所得で課税
税種所得税住民税
税率30% (30.63%)9%
  • 5年超~10年以下所有の住まいの売却:長期譲渡所得で課税
税種所得税住民税
税率15% (15.315%)5%
  • 10年超所有の住まいの売却:低率分離課税
課税所得所得税住民税
6,000万円以下の部分10%(10.21%)4%
6,000万円超の部分15%(15.315%)5%

■夫婦などで同居する共有名義の住まいを売却したときの、3,000万円控除の適用

<ケーススタディ>

  • 土地が単独、建物共有のケース
    1. 夫は自分の持分の建物部分の譲渡益から3,000万円控除
    2. 妻は自分の持分の建物部分と土地の譲渡益から3,000万円控除
  • 建物単独、土地共有のケース
    1. 夫は建物と自分の持分の土地の譲渡益から3,000万円控除
    2. 妻は自分の持分の土地の譲渡益部分に、(1)の3,000万円控除に残額があった場合にのみ適用される
  • 土地単独、建物単独のケース
    1. 夫の建物の譲渡益から3,000万円控除
    2. 妻は土地の譲渡益部分に(1)の3,000万円控除に残額があった場合にのみ適用される
  • 土地、建物それぞれ共有のケース
    1. 夫妻ともに自分の持分に応じた譲渡益に対してそれぞれ3,000万円控除が適用される

「特定の居住用の買いかえ特例」

「特定の居住用の買いかえ特例」は、売却するマイホームの居住期間が10年以上、所有期問が10年超、売却する住まいの価額

が1億円以下などの条件に該当するとき適用されます。売却代金のうち買いかえに充当した部分は所得税や住民税が繰り延べと

なります。

※売却代金の方が買いかえた住宅の価格より高いケースで、譲渡益が出た場合の税率は長期譲渡所得で計算します。

この特例は1998年1月1日から2021年12月31日までの期限内の譲渡に限り認められるもので条件は下記のようになっています。

■売却資産の条件

  • 土地( 含借地権)• 建物の所有期間がともに、売却する年の1月1日現在で10年を超えていること。
  • 売却する住まいでの居住期間が10年以上であることなど。
  • 売却する住まいの価額が1億円以下であること

■買いかえ資産の条件

  • 買いかえ資産は建物が50㎡以上で上限はなくかつ土地は500㎡以下のものに限られる。
  • 中古耐火建築物を取得する場合は築後25年以内のものなど。
  • ②の期間を超え新耐震基準に適合している住宅。
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している住宅(加入後2年以内のもの)。

⑤ 買いかえた住宅が建築後、使用された耐火建築物以外の住宅の場合、次のいずれかの要件を満たすこと。

イ)取得の日以前、25年以内に建築された住宅

口)地震に対する安全性の規定もしくはこれに準する基準に適合すること。

なお、以上の要件を満たさない非耐火建築物であってもその取得期限までに改修などを行うことにより適合条件を満たしたときは、この特例が適用になります。

買いかえ特例の適応が可能でも、ケースにより、さらに有利な特例の選択ができる

将来の税制改正などを考えると一概には言えませんが、どの特例を選択するかは税理士などの専門家にご相談ください。

マイホームの買いかえ特例は住まいを売却して買いかえ資産を当年、翌年、あるいは前年に取得した場合に適用される制度です。なお、手許に現金を多く残したい場合とか、再度の買いかえを計画している場合などは、3,000 万円の特別控除と低率分離課税を選択したほうがより有利となるケースもあるので、専門家と十分に相談してください。

2つの住宅譲渡損失の持越控除の特例

5年超所有のマイホームを売却し、赤字が出たときは、ケースにより次の2つの特例のいすれかが適用になります。

  • マイホームを買いかえたとき
  • マイホームを譲渡したとき

一定の条件を満たせば、その年の他の所得と損益通算でき、なお赤字が桟るとき、翌年以降3年問、この譲渡損失(赤字)を繰越控除することによって、所得税・住民税か軽減できます。

(注)7,000万×70%×0.9(定額法)×0.015×8(所有年数)=529.2万円

※住宅ローンの借入先の範囲に次の法人も含まれます。当初の住宅ローンなどの借入先である一定の金融機関などから、その住宅ローンの償権の譲渡を受けた一定の法人。

※繰越控除の計算例について、2021年2022年、2023年の住民税は均等割のみの額です。また、2024年は大幅に下がります。

※2013年分から所得税のほかに復興特別所得税が所得税額の2.1%課税されますが、計算の都合上これを除外してあります。

1:マイホームを買いかえたとき

1998年1月1日から2021年12月31日までに、売却したマイホームの赤字に認められ、その条件は次のようになっています。

■売却するマイホームの条件

  • 所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること。
  • 売却したマイホームに譲渡損失が生じ、その年の他の所得と損益通算しても、なお赤字が生じること。また、500㎡以上の敷地を売却した場合は、500㎡までの損失分しか対象とならない。

■買いかえるマイホームの条件

  • 前のマイホームを売却して、翌年の12月31日までに新しいマイホームをローンで購入すること。またマイホームを先行取得する場合には、翌年のl2月31日までに前のマイホームを売却すること。
  • 購入するマイホームは50㎡以上の床面積を居住用にすること。
  • 購入後のマイホームのローンは、融資期間が10年以上で、特例を受ける各年の年末に残債があること。

■所得制限など

  • 特例を受ける各年(3年間)の所得が3,000万円を超える年については、特例を適用できない。
  • 「住宅ローン減税制度」と併用することができる。

■繰越控除の計算例〈ケーススタディ〉

●2012年5月に7,000万円で購入したマンションを、今年4月4,000万円で売却し、5,000万円の住まいを購入。

●購入後のローン残高は2,000万円。

●2020~2023年の各年の所得800万円、所得控除190万円、所得税は79万2,500円とする。

  • 2020年分の所得税

イ)住宅譲渡損失の計算

4,000万円―(7,000万円―529.2万円)―(138.6万円+2万円)=△2,611.4万円

※7.000万円のマンションの達物部分を70%として計算

□) 2020年分の所得税

800万円-2,611.4万円=△1,811.4 万円

※損益通算により△1,811.4万円の譲渡損失が残ったので翌年に繰越が認められる。

所得税は全額79万2.500円が還付

  • 2021年分の所得税

800万円-1,811.4万円=△1,011.4万円(翌年へ繰越)

所得税は79万2,500円が還付

  • 2022年分の所得税

800万円ー1.011.4万円=△211.4万円(翌年へ繰越)

 所得税は79万2,500円が還付

  • 2023年分の所得税

800万円ー211.4万円ー190万円=398.6万円

所得税は42.28万円が還付

2:マイホームを譲渡したとき

2004 年1月1日から2021 年12 月31 日までのマイホームの譲渡に適用され条件は次のようになっています。

■適用の条件

  • 所有期間が売却する年の1月1日現在で5年を超えていること。
  • 譲渡損失が発生していること。
  • 売買契約を締結した日の前日に住宅ローンが残っていて、この金額が売却代金を超えていること。
  • 以上のケースで②か③(売却代金-ローン残債)のいずれか損失の少ない方の金額が損益通算および繰越控除の対象となります。
  • 特例を受ける各年(3年間)の所得が3,000万円以下のこと。

■繰越控除の計算例〈ケーススタディ〉

● 2012年5月に7,000万円で購入したマンションを、今年4月4,000万円で売却し、ローン残高が売買契約の締結日の前日で5,000万円あるケース。

● 2020年、2021年の各年の所得800万円、所得控除190万円、所得税は79万2,500円とする。

  • 適用対象譲渡損失の計算

イ)4,000万円-(7,000万円-529.2万円)-(138.6 万円+2万円)=△2,611.4 万円

ロ) 4,000万円-5,000万円=△1,000万円

損失の少ない方の金額△1,000万円

※7,000万円のマンションの建物部分を70%として計算

  • 2020年分の所得税

800万円-1,000万円= △ 200万円

※損益通算により△200万円の譲渡損失が残ったので翌年に繰越が認められる。所得税は全額79万2,500円が還付

  • 2021年分の所得税

800万円-200万円-190万円=410万円

※所得税は40万円が還付

【Q】マイホームを売却し3.000万円の譲渡損失が出ますが、今年5.000万円のローンを20年返済で借りてマイホームを買いかえる予定です。

「住宅の譲渡担失の繰越控除」と「住宅ローン減税」を併用できますか。私の年因所得は約1.500 万円です。

【A】「住宅の譲渡担失の繰越控除」と「住宅ローン減税」が併用できます。あなたのケースでは、今年は年間所得1,500万円から譲渡損失3,000万円を差し引いて、所得税(及び来年の住民税)がゼロとなり、所得税が全額還付されます。来年も、年間1,500 万円の所得から繰越譲渡損失1,500万円が控除され、今年と同様になります。

したがって住宅ローン減税は3年目から11年間にわたって税額控除されることになります。

コチラも確認!

住まいを建築・購入するときの税金マニュアル

タイトルとURLをコピーしました