【初心者でもわかる!】庭スペースの使い方と設計方法

庭スペースの問題点

問題点:敷地に建物をレイアウトして、あまったスペースを庭にあてているケースが目立つ。

それぞれの庭スペースの用途を踏まえ、機能と規模の最適化を図る。

庭スペースの構成要素

◆ 敷地内を必要なスペースにゾーニングする際、庭スペースを下記の様な用途に分けて配置していくと良い。

① 主庭
② 中庭(坪庭)
③ アプローチ
④ 前庭
⑤ 物干しヤード
⑥ サービスヤード

【建物周辺】
メンテナンス等の為に通路とし、安全な回遊性を確保できる800 程度の有効幅が望ましい。(最低でも600 程度確保する。)
その際、出窓や設備品(給湯器、エアコン室外機、メーター類)の出張りに注意する。

【通路部分】
通行のし易さ・ドロはね防止の意味でコンクリート打ちするケースも多い(犬走り)。
また、砂利敷にすることで、防犯性を高める方法も考えられる。(ただし、雨天時の効果は薄く、過度に期待しすぎないこと。)

主庭

庭スペースの中で、最も居室(一般的にはパブリックスペース)とのつながりが大きく、敷地利用計画上、重要な要素の1つである。

主庭を計画する際には、以下の3点に配慮する。

① 日照
② 室内とのつながり
③ 景観・眺望

日照

◆ 隣接地の建物等の状況を鑑み、敷地内のどの位置に建物を配置すると主庭及び、それに繋がる居室の日当たりが確保されるかを考える。
 特に南側に隣家がある場合、南北方向での距離を意識すること。

◆ 隣家建物配置や形状にもよるが、1階居室に直射が入る最低条件を考えても、冬至で南北方向7m以上(最低でも5m)の離隔がほしい。
 さらに庭自体に日照を期待するなら10m以上の離隔が確保されないといけない。

◆ 単に一律に南面に庭を取るのではなく、日照を意識し、部分的だけでも南北方向を広げた庭の配置を検討すると良い。
 その際、隣地への影響(日照、圧迫感、プライバシー等)に注意する。

※部分的だけでも主庭の奥行きをとり、日照を確保した例。
ただし、この場合、西側隣地への日当たりを阻害することになるため、周辺状況を踏まえて計画する必要がある。

室内とのつながり

◆ 主庭は一般的にリビング、ダイニング、客間等パブリックスペースに隣接して設ける場合が多い。
 どの部屋から主庭に隣接するか、アクセスするか、また、どう使うかを考慮する。

使い方を考慮することで、主庭の必要なつくり込みが見えてくる。
隣接する居室と一体として利用する場合は、テラスやウッドデッキなどを設け、レベルをGLよりも上げ、室内からアプローチしやすくすることも必要となる。

景観・眺望

◆ 居室からどう見せるかを考える。

主に、主庭に面し、建物を開放的にする場合が多いことを意識し、景観をつくり込むために必要なスペースを考慮する。

また、遠景(眺望)を意識し、その方向に合わせて主庭をとると、より開放的な広がりのある居室をつくりやすい。その際、プライバシーも意識し、外部からの視線の進入を防ぐ植栽等も配慮する。

■リビングからの景観

■ダイニングからの景観

■和室からの景観

中庭(坪庭)

中庭・坪庭は、通常3方もしくは4方を建物に囲まれた屋外空間を言う。
(尚、中庭と坪庭を厳密な意味で区別することはできず、同義語として用いられることが多い。よって、以降、中庭と坪庭を総称して「中庭」とする。)

◆ 特に近年、プライバシー確保や防犯性重視の観点から、主庭を中庭とするケースが増えてきている

【中庭を主庭とする場合】
ある程度の日照を確保できる様、空間設定に注意する。

日照が期待できない場所への植栽は、樹種を充分検討する。

軒下になる場合は、雨による自然の水やりが行なわれないため、維持が非常に困難となる。原則、植栽は避けること。もし植える場合は、その旨充分にお客様に説明しておくこと。

浴室から坪庭を見たいと要望されるお客様も多々いらっしゃるが、外部を見る以上、外からの視線が入ることにもつながるため、プライバシーの維持が大変困難である。全方を囲むつもりで計画しないといけない場合がほとんどであるため、充分検討をする。

《 南面アルコーブタイプ 》

A:日照上、原則 主庭の距離と同様に考える。(やむを得ない場合でも4m以上確保)
B:用途にもよるが、3.5m以上確保したい。

A:特に規定しないが、庭の使い方に準じた広さを確保する。
B:用途にもよるが、3.5m以上確保したい。

《 東西面アルコーブタイプ 》

A:3.5m以上
ただし、南部分(図内網掛け部)が総2階であれば、C 部分(1階)への冬期の日照は全く期待できない旨を充分に説明しておくこと。
B:2m以上

《 中央くり抜きタイプ 》

A:4m以上
ただし、南部分(図内網掛け部)が総2階であれば、C 部分(1 階)への冬期の日照は全く期待できない旨を充分に説明しておくこと。
B:3.5m以上

アプローチ

◆ 建物の顔である「ファサード」を間接的に形づくる部分であり、外観デザイン上の考慮も必要となる。

【隣接する庭とのマッチング】
アプローチを洋風にし、隣接する庭を和風庭園にする場合、間に緩衝としての植栽を入れる等の工夫をすること。

◆ アプローチは、訪れる方々の目に触れるスペースでもあるので、施主の個性を感じさせる様な演出を工夫する。

⇩アプローチの設計方法
アプローチ計画を考える~門廻り・階段通路・塀・玄関ポーチ~

前庭

道路境界線や、カーポート等と、建物や用途のある庭(主庭、サービスヤード、物干しヤード)との間を埋める庭。

道行く不特定多数の人が見る場所となるため、アプローチとのつながりを考慮したデザインとすること。
目隠しとしての機能を要求される場合が多いので、フェンスや生垣の高さには配慮すること。

物干しスペース

物干しスペースを考える際には、下記について考慮する。

① 日当たり
② 通風
③ 視線遮断

視線を遮ることを考えると、通風も遮断されることが考えられる。よって通風を確保しやすい生垣や目隠しフェンス等が望ましい。

必ずしも、物干しスペースは、サービスヤードに含まなくても良い。
現実的には、日当たりや取り込みしやすさ等で位置が分離される場合が多い。

《 物干しスペースの目安寸法 》

サービスヤード

勝手口等の裏動線上に設置する実用的な庭。物置スペースやゴミの仮置場として機能する様、配置する。

◆サービスヤードから、公道に出られる通路も確保する。
(アプローチに繋げても良い。)

【 物置スペース・ゴミ置きスペース】
屋外の手入れ品、リサイクル品の仮置場等の収納スペースとして、また、分別ゴミ、生ゴミの仮置場としてスペースを確保する。建物内で同様のスペースが確保されていれば必ずしも屋外に設ける必要はないが、確保できない場合が多いため、計画に盛り込んでおくと良い。

※物置等の奥行については、特に限定しないが、550 以上確保したい。
※尚、スチール物置等は厳密には法的規制や税務上の対象となり得るので注意しておくこと。

参考/物置の目安寸法

植栽の配置(配植)

植栽は多機能で、いくつもの効果を総合的に発揮するところに特徴があり、住まい全体の価値を上げるだけでなく、地域の価値を上げる

・植物を植えることにより、敷地全体が美しく修景される。
・夏の日差しを遮ったり、冬の北風を弱める等、暑過ぎたり寒過ぎたりする住宅周辺の環境を改善、緩和する。
・芽を出し、花を咲かせ、実をつける植物が身近にあることで、人は心にゆとりと安らぎを覚え、葉の緑、花の香り、フィトンチッド(※)等が心と体に好影響を与える

※フィトンチッド:樹木から発生する揮発性の物質。特に針葉樹に多いと言われ、森林浴の効用として、認められている。

門への誘導、アプローチの縁取り等、動線に関わるほか、視線の誘導、遮蔽等の効果がある。

参考/植栽の効用
・健康に良い:大気を浄化、森林浴効果
・情操に良い:リラックス、リズム、活力
・感性の育成に良い:音、声、木もれ日、花、自然との同化で五感を刺激
・メモリアル効果がある:記念樹、木登り、人と木の成長
・生き物に親しめる:小鳥、蝶等の昆虫、カエル
・食生活を豊かにする:芳香、自然の中での食事
・住環境の保全に役立つ:資産価値、街並の調和

計画のポイント

配植を考えるにあたり、上記を踏まえ、以下の2点を意識して計画すると良い。
美観・・・樹木と草花の個々の魅力と群の調和を表現する。
機能・・・目隠し、防犯、遮光等の機能的効果を考慮する。

配植の基本は「不等辺三角形」
配植の基本とされる「三本植え」の手法で、最も重要なポイントは、樹木を平面的にも立体的にも「不等辺三角形」に配置すること。
これは、平面的に見た場合、直線的もしくは、均等な距離での配植によって、単調な雰囲気になりなりにくくするためである。
立体的には見た目の樹高や重なりに変化をつけることにより、庭の奥行きや広がりを演出できる。

「不等辺三角形」

常緑樹と落葉樹、高木と中木の割合
常緑樹と落葉樹や高木と中木とをバランス良く配植することで、四季の変化や、見ための明るさをうまく演出できる。
一般的には、常緑樹が多すぎると庭が暗くなり、落葉樹が多すぎると冬寂しい庭となる。
和風庭の場合、常緑樹と落葉樹を「7:3」、洋風庭の場合は「4:6」の比率で配植することにより、それぞれのメリットを生かした庭作りが可能になる。
目安として、高木(3m~6m)と中木(1m~3m)を1:3位のバランスとし、日当りや成長を考えて木々の間隔が充分にとれた配植とする。枝葉と枝葉がやや離れる程度が望ましい。

単一樹種による「群植」、「生垣」。複数樹種による「混植」
低木を密植させ地面を覆う「群植」や、中木や低木を列植する「生垣」等、単一樹種による植栽は、シンプルながら目的のはっきりした植栽である。
さらに、樹木ばかりでなく、草花を含めていくつかの植物を組み合わせて「混植」することで、四季それぞれに咲く花の色や香りを楽しめる。また、自分の庭としてだけでなく、周辺環境の景観作りにも貢献できる。

緑陰で西陽をコントロールする
西陽対策として、落葉広葉樹を建物の西側に配植することで、建物の壁や屋根に注ぐ日差しの調整が可能となる。
夏は密生した葉が日差しを防ぐとともに目にも涼感を与え、秋は紅葉が楽しめ、冬は落葉し日差しを遮らないという、理想的な自然のサンシェードとなる。

緑陰を楽しめる樹木の条件
・樹冠幅が広い
・冬は落葉し日照を確保
・葉が美しい
・枝下の高さが充分

植栽における注意点

・冬季に葉が落ちてしまうので、目隠しに落葉樹は使わない。
・生育が悪くなるので、日陰に陽樹(※)は使わない。
※陽樹=日当たりの良い場所でしか生育できない樹木。カイヅカイブキ、赤松等。
陰樹=日の当たらない陰地でも生育する樹木。ヤマモモ、クチナシ、紫陽花等。
・狭い場所に大きくなる木(クスノキ、メタセコイア、イチョウ等)は植えない。
・隣地との境界に落葉樹を植えると、隣地に葉が落ちるので配慮が必要。
・樋の近くに落葉樹を植えると、樋に葉が詰まる恐れがあるので避けること。
・基本的に、植栽は軒下にはしない。(雨水が当たらないため。)
・建物近くに芝や竹、笹を植えると管理が大変で望ましくない。

樹木の用途

シンボルツリー:主木。道路側からだけでなく、部屋からも眺められるように植えるとよい。季節を感じさせ、品格のあるものを植える。主庭に加えて門廻りにも主木を配置する場合がある。

サブツリー:添景木。アプローチや道路から見えるように植える。シンボルツリーがより映えるよう、花の時期が異なるもの等を選ぶ。

根締め:背の低い灌木類を植え、メインの木と調和させる。

生垣:目隠しや美観のために、主に常緑樹を列に植えて作る緑の塀。

列植:アプローチのアクセント。生垣仕立てや立ち上がり系の木をリズミカルに。

垣根止め:端に植え、空間を締めるべき大きな木。できれば色も濃いめが良い。

寄せ植え:高さ1m前後で密に植栽して利用する木のこと。花を咲かせる木を入れて植栽のアクセントとする場合が多い。

グランドカバー:地被。地面を被い地肌を飾る、いわば緑の絨毯。

参照文献:平成10 年5 月15 日発行 建築知識 別冊 緑のデザイン図鑑 樹木・植栽・庭づくり

生垣の手法

・生垣は道路や隣地からの視線のカット(目隠し)によるプライバシー確保や、フェンスとしての防犯機能が考えられるので、通常、常緑樹が使われる。
・ブロックなどの塀と違い、閉鎖感、圧迫感を抑えるとともに通風も確保できるなどのメリットがある。
・足もとが透きやすいので、道路際は、二段垣とするのが望ましい。
・特に道路際は街並みや景観にも配慮した樹種を選び、通りかかる人に視覚的にも臭覚的にも楽しみを与えたい。

法面保護にも活用

法面は安全上30°以下の勾配にするのが望ましい。それでも降雨時、土が流れたり、くずれたりする恐れがあるので、地被類や灌木類の植栽にて保護する等、配慮する。

《法面植栽の例》

《生垣としての応用例》

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