アプローチ計画を考える~門廻り・階段通路・塀・玄関ポーチ~

「玄関までのアプローチってどんな風に計画したらいいの?」
「お客様が見て、おっと思っておらえるエクステリアにしたい」
「高齢者でも使いやすいアプローチを教えてほし

こんなお悩みや不安はありませんか?

エクステリアの計画はハウスメーカーの営業、設計も実は後回しにしがちな部分です。
例えばエクステリアコーディネータ等が専門的に話してくれればよいのですが、コーディネーターがいないハウスメーカーもあります。その中で担当者が外構イメージを提案してもそれが良いのかどうか判断がつかないものです。

その為そんな照明計画、ここでは玄関までのアプローチを使いやすく効果的に出来るようお客様自身が判断できるよう、わかりやすく解説します。

アプローチ計画を考える

◆ アプローチスペースの定義

道路に面した門から玄関までの通路及びその周辺空間をアプローチスペースとする。

◆ アプローチスペースの意義

アプローチスペースとは、外部から内部への雰囲気を溶け込ませる準備をする空間であり、またプライベートな空間から外部へいきなりさらさないための空間でもある。

公私領域の中間で気持ちを整える為の外と内をつなぐ導入空間である。

日本的な言い方では『間』の様な役割をもっている。

また、家族が家へ帰ってくる時の緊張を解き、来客や道行く人に我が家らしさを、さりげなく伝えるメッセージ的な役割も持っている。

アプローチスペースの構成要素

アプローチスペースに必要なボリュームの目安を容易に把握できる様、構成要素をまとめた。

下記の構成要素を満足し、かつ自然な流れになるよう配慮する。

また、建物内部へ繋がることを踏まえ、心の変化をうまく誘導する様な計画を行う。

《構成要素》

① 門廻り
② 階段(スロープ)・通路
③ 塀・フェンス(植栽)
④ 玄関ポーチ

① 門廻り

〔 住まいの第一印象を決める空間 〕

◆ 敷地条件を踏まえ、使い勝手や機能を満たす計画を行う。
◆ 施主のこだわりやデザインセンスを反映させ、「我が家らしさ」を演出する計画を行う。

《構成要素》

① 門扉
② 門柱・門袖
③ インターホン
④ ポスト
⑤ 表札
⑥ 照明(門灯)
⑦ シンボルツリー

◆ 門扉の設計

・事故防止のためにも、扉と道路境界の間には奥行きを持たせる
内開きを基本とする。
※アプローチ方向と開き勝手との位置関係に注意する。

門廻りの段差解消

道路と敷地に高低差がある場合は、階段の二段目に門扉を設けるとバランスが良い
※門扉の真下に段差(ステップ)を設けるのは、安全上避けること。

◆ 門柱・門袖の設計

・既製の門扉のモジュールやデザインを利用する様に計画する。
・門扉上端より150 程度高くすると、門構えがバランス良くなる。

◆ インターホンの設置

・門袖に設置するのが一般的だが、ポストや表札と一体となった商品もあるのでデザインにあわせて選択する。

・カメラ付の場合は、取付け高さを設計段階から確認しておく。
※インターホンの機種により、寸法が異なるので、注意が必要。

◆ ポストの設置

・郵便物等が出し入れしやすい様に、また濡れない様に、機能を優先させる。
・門灯等と一体化したものを使用すると、門廻りをまとめやすい。

◆ 表札の設置

・構成要素全体のバランスを考えて、見やすい位置・高さに設置する。

◆ 照明(門灯)の設置

・門廻りを明るくし、表札がはっきり見える位置に設置する。
・防水型で、壊れにくく腐食しにくい素材を選択する。
(デザインが凝ったものは、漏水しやすいものがあるため、注意が必要である。)

◆ シンボルツリーの計画

・周辺環境やアプローチ全体の雰囲気づくりを考慮して計画する。
・四季を感じ、季節ごとに豊かな表情を見せる種類の独立中高木を門付近に植栽する。

《代表的なシンボルツリー》

・ハナミズキ(花が美しく、実のなる木)
・キンモクセイ(香りの良い花が咲く木)
・モミジ(紅葉する木)
・シラカシ(実のなる木) 等

② 階段(スロープ)・通路

〔 門と玄関を物理的につなぐとともに、心理的な変化を促す空間 〕

なるべく長くとり、自然な変化をつける。陰影をつけたり、立体的な視野となることを心がけて計画する。

◆ 階段(スロープ)・通路の計画

・気持ちの切り換えを促すために、「突き当たる」、「曲がる」等の変化をつけるとともになるべく長く歩かせる様に計画する。

「狭める」、「広げる」といったアクセントや階段などのレベル差を利用し、視線を立体的に動かして歩調や視覚的なリズムを作り出す。

・アプローチの壁に緑を這わせたり、床の仕上げを楽しげなデザインにしたりする等、狭くても視線を遊ばせる演出をする。

《 階段(スロープ)・通路のバリエーション 》
《 階段(スロープ)、通路の基本寸法 》
(参考)人の行動における基本寸法

◆ 階段(スロープ)灯・通路灯

アプローチは、特に夜に歩くことも多いため、安全性・危険防止の観点から、あらかじめ計画に組み込んでおく。

・暗がりになるところができないように設置位置、高さ、角度等を検討する。

・階段には踏面をはっきり認識できるように照明を複数設置する。(ひとつのスイッチで複数点灯できるのが望ましい。)照明を複数設置するのが困難な場合、影が出来ない等、全体の踏面がはっきり認識できる照度、高さを検討する。

階段はできる限り廻り階段(30°や45°)としない

・動線上の壁は、体を擦ってケガをしない様な仕上げ材を選択する。

・階段(スロープ)には少なくとも片側に手すりを連続して設ける

  •  ・アルミ材やステンレス等、耐候性に優れたものが望ましい。
  •  ・手すりの高さはお客様に合わせた寸法(一般的には800~850)を計画する。
スロープの必要性

①高齢者が車椅子を使用する場合
②ベビーカーを使用する場合
  ➡自走することは想定できないため、お客様へ説明を充分にした上であれば多少の急勾配であっても可とする。

③車椅子を使う身障者用に設ける場合
  ➡個々の能力にあわせて勾配を決定する。(充分なヒアリングが必要)

◆ スロープ勾配

・一般的なスロープは1/12以下が望ましい

高齢者による車椅子使用の場合は、1/12のスロープでの独力での昇降は現実的には困難であるため、勾配は1/20程度が望ましい。

・車椅子を使用する際の段差の緩和は以下の寸法とする。ただし、高齢者の独力での走行を前提とする場合は、下記の段差も望ましくない。

スロープが長くなる場合は途中で踊り場を設ける。Uターンの折り返し部分は、勾配をつけず、フラットとする。

◆ スロープの床仕上げ

スロープの床仕上げは、特に滑りにくい素材を選択する。

・冬季の凍結や積雪時では1/20程度のスロープであっても滑りやすく危険なためスロープ単独でのアプローチは避ける。(お客様の要望であっても必ず階段を併設する。)

・車椅子だけでなく歩行時も想定して、安全上、手すりを設置するのが望ましい。

③ 塀・フェンス(植栽)

〔自敷地と外部との境界を仕切る要素 〕

アプローチスペースの一部として街並みに調和させるとともに外部からの視線を遮る。
プライバシー確保や防犯の視点から仕様を検討する。

◆ 塀の設計

アプローチに重厚感や統一感を与えるとともに、外部と遮断しプライバシーを確保する。
ただし、高く積み上げすぎて外部に対し圧迫感を与えたり、閉鎖的で暗いアプローチスペースとならない様に計画する。また、閉鎖的になりすぎると、防犯上、望ましくないので注意する。

※道路側へ植栽帯を設けたり、所々にスリットを入れたりする等、配慮が必要。

・高いブロック塀は控え壁が必要になるため、アプローチ動線上に控え壁が影響しない様注意する。

◆ フェンスの設計

・外部からの視線を透過するため、生垣もあわせて検討する。
・フェンスだけでは殺風景になりがちなので、塀や植栽を絡ませる等して、デザイン面での工夫を検討する。

④ 玄関ポーチ

〔 エクステリアとインテリアをつなぐ接点 〕

デザイン的にも重要なものであるが、屋外と屋内をとりもつ緩衝的な役割をもつ空間である為、実用としての機能を充分に満たしたものである様計画する。

※雨や風、地方によっては雪等を考慮して大きさを決め、安全性の高いものにする。

関連記事はこちら⇩
使いやすい玄関を考える~ポーチ編~

※ その他

・玄関が道路面から全く見えないと、不審者が隠れやすく、防犯上望ましくない。
※ただし、鍵を開閉する動作等が丸見えになる場所に玄関を計画することも、極力避ける。

・あらかじめ、人が潜める様な場所はつくらないことや、死角になりやすい場所にはアプローチ灯をつける等、工夫する。

アプローチ途中の臭いや音は、通る人にとっても不快である。
そのためトイレや浴室、レンジフードに近い場所を通ることがない様な計画とする。避けられない場合、距離を空けたり、植え込みで目隠しをしたりする等の配慮をする。

アプローチの途中に雰囲気を損なう様な設備機器が出てこない様、計画段階で検討しておく。
(エアコン室外機、給湯器、各種桝、各種メーター類、浄化槽等)

※ アプローチスペースの設置例

《道路からの引きが1700 》

《道路からの引きが2000 》

《道路からの引きが2400 》

タイトルとURLをコピーしました