[土地探し]注文住宅設計士が実践している敷地調査のコツ

注文住宅を買いたいけど土地がなくて、土地探しをしている方

「土地を探さなきゃいけないけど、SUUMOとか見てもどんな土地がいいのかわからない。」
「安い土地だと問題あるの?
現地見てもよくわからないよ」
「営業が進めてきた土地の見方が分からない」

こんなお悩みや不安はありませんか?

賃貸等から戸建て、特に注文住宅などを検討されている方の大半の方は土地からの検討になります。いろんなサイトを見ても正直更地だと良い悪いがよくわからないですし、築古の中古住宅があったりすると解体などの工事もある為、判断が難しいです。

とはいっても不動産の営業が進めてくる土地が果たしていいのか?悪いのかの判断も付きにくいのが実情です。

ここでは土地を見るときの基本的な考え方を理解して土地の提案を受けた際にお客様自身で良し悪しを判断できるよう、わかりやすく解説します。

今、土地を探されている方へ、建築業界の人間がどのように敷地を解析しているのかをお伝えします。
(私自身ハウスメーカー営業をしていた時にしていたことです)

ご参考にして頂けるのではないかと思います。

戸建て業界に入ったばかりの方も参考になると思いますので、確認してみてください!

敷地条件を洗い出す

まず、大きく考えると土地を探す上では以下の事を念頭に置いて頂くと良いです。

土地のイラスト

① 敷地の特性の中で変更できない制約(法規等)は正しく把握し、
住み難さにつながる可能性のある制約はできるだけ軽減しましょう。

魅力は活かして計画することが大切です。
敷地の何が制約や魅力となるのかを正しく整理しましょう。

③ 敷地条件を整理するために、まずは敷地を正しく把握することが重要です。

※敷地形状や高低差等の敷地状況を把握するだけでなく、隣の家からの視線など、周辺の環境が敷地に及ぼす影響も把握しましょう。

不動産鑑定士のイラスト

住宅は個々の違った敷地に建築するため、敷地に対し最適と考えられる住宅を提供することが大切です。

そのために、敷地の特性を整理し、計画に繋げていかなければいけません

【重要ポイント】
計画する上での影響を想定しながら、
敷地の様々な特性を把握し、
制約や魅力に分類する。

基本条件の整理

計画全体の方向性を決定するための重要なステップであるので必ず行うこと。

【周辺状況の把握】
◆ 建物を計画するにあたって、詳細な測量・地盤調査とは別に、設計者自身が現地に出向いて、敷地及び周辺の状況を理解する事が大切である。
(現地調査をしながら設計するくらいの姿勢が望ましい。)

【予備知識】
◆ 現地調査の予備知識として、
・敷地形状(寸法・方位等)
・家族構成
・現状の住まいへの不満と新居への要望
・駐車希望の台数

などの概要を把握してから現地に向かう

【記録①】
事前にヒアリングが難しい場合は、現地にて気づいた点を記録しておき、質問事項として別途ヒアリングに活用する。
(疑問点のまま残さないことが重要。また、お客様からの情報を聞き出すきっかけにも活用できる。)

写真・スケッチ等により必ず記録をとっておく。
(写真撮影の際は近隣等への配慮を怠らないこと。)

現地調査のポイント

ポイント①
敷地及び周辺状況の問題点は現況を確認しないと把握できないことが多い。
また、実際に現地を確認することで、敷地を活かす新たな発見をする事もある。

ポイント②
住宅は、敷地(土地)の利用計画が住み心地に大きく影響する建物である。
よって、建物そのものが存在する敷地と、その周辺環境に合致した計画が住み心地を大きく左右する。
そのため、計画に反映できるよう、充分な調査が重要となる。

では、具体的にはどのような物が影響するのかを書き出します。

① 敷地及び周辺状況

・ 高低差 ·························· 隣地、道路、敷地内
・ 隣家との取り合い ······ 離隔、圧迫感
・ 既存の建物等 ················· 家屋、樹木、外構
・ インフラ関係 ························ 給排水、電気

② 周辺環境

・ 環境条件 ····················· 方位、日照、排気、通風、騒音、振動
・ 街並み ·························· 周囲の街並み
・ 道路 ······························ 車の乗り入れ、電柱・標識等

③ 生活環境

・ プライバシー ············ 隣家との視線、道路からの視線
・ 眺望 ······························ 眺望
・ 防犯・災害 ··················· 防犯、災害

④ 施工上の注意点

・ 搬入・施工 ·················· 搬入・施工
・ 安全 ······························ 安全

1・敷地及び周辺状況

高低差

◆ 隣地との高低差
・隣地との間に土留が必要かどうか確認する。
・隣地の雨水が流れ込まないか、また隣地に雨水が流れて迷惑をかけないか確認する。

◆ 道路との高低差
・道路斜線制限の影響を受けそうな部分を確認する。
排水経路、排水勾配がとれるか確認する。
・駐車スペースやアプローチスペースの最適な場所に見当をつけておく。
→現状の高低差が活かせないか確認する。
土留が必要かどうか確認する。
深基礎が必要かどうか検討し、設計GL等への影響を確認する。

◆ 敷地内の高低差
・設計GLを、①最もコスト効率が良いレベル②最も使い勝手の良いレベルの2 つの観点で想定する。
・特定の場所に雨水が溜まりそうにないか、また水はけはどうか確認する。
・駐車スペースやアプローチスペースに最適な場所の見当をつけておく。
→土留が必要かどうか確認する。

隣家との取り合い

◆ 離隔
・隣家が隣地境界線に対し、民法上の離隔が取れているかを確認する。

①建物の離隔50 ㎝以上
(民法234 条:隣地所有者の承諾があれば50 ㎝未満も可能。)
②開口部の離隔1m
(民法235 条:境界より1m 未満の距離の開口部には目隠しが必要。)

参考/民法234 条と235 条
民法の一部は、未だ文語カタカナ書きであり、非常に読みづらい。そこで口語体に訳してみた。

○民法第234 条〔境界線近傍の建築〕 【昭三十三法六二第一項改正】
(1)建物を築造するには境界線から50cm 以上の距離が存在しなければならない。
(2)前項の規定に違反して建築をしようとするものがあるときは、隣地の所有者は、その建築を廃止し、又はこれを変更させることができる。但し、建築着手の時から一年を経過し、又はその建築が竣成した後は、損害賠償の請求のみをすることができる。

○民法第235 条〔同前〕 【昭三十三法六二第一項改正】
(1)境界線から1m 未満の距離において他人の宅地を観望できる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付しなければならない。
(2)前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から直角線で境界線にいたるまでを測
算する。

参考/「一方的」か「お互いさま」か
隣家が民法上の離隔50 ㎝が取れていないからといって、無条件に自敷地側建物も取らなくても良いわけではない。
あくまで、隣地側の承諾を得なければならないが、「一方的」か「お互いさま」かにより、承諾が取りやすくなることが考えられるので、隣家の離隔を把握しておくと良い。

◆ 圧迫感
隣家の状況(高さ、古さ、きれいさ、色合い等)を確認し、新築住居での影響(不快感等)を想定する。

既存建物等

◆ 家屋
・既存の建物は、敷地の内包する特徴や問題点を示している場合があるので、特に注意が必要である。
→例えば、日当たりの良い場所が、テラスや物干しスペース、花壇等として使われている場合が多い。

◆ 樹木
・既存の植栽について移植・伐採の検討をしておく。
(移植時期や保管場所が問題となり、工期等に影響を及ぼすことがある。)
・樹木を伐根すると、大きく地盤を掘削することになるため、建物位置が重なりそうな場合は、基礎補強の必要性を検討する。

◆ 外構
・既存の外構、ガレージが活かせるかどうか確認する。(デザインも含めて。)
→既存の土留が活かせるか確認する。(強度的・法的判断を含めて。)
→既存のフェンスや植栽に、どの程度視線を遮る機能があるか確認する。

車庫・ガレージのイラスト

インフラ

◆ 給排水
・最終桝や水道メーターが、門廻り(特にタイル張り床面)の美観を損ねるケースがあるので注意が必要である。
水道メーターの位置が、外構計画や検針に支障がないか確認する。
・既設浄化槽を撤去すると、大きく地盤を掘削することになるため、建物位置が重なりそうな場合は、基礎補強の必要性を検討する。

水道管のイラスト

◆ 電気
・電線の引き込みに際して、隣地を横断することがないか確認する。
受電ポールや中継ポールが必要かどうか確認する。(物理的及び美観上の観点。)
※電柱や最終桝の移設・加工が必要だと考えられるときは、費用面の検討もしておく。

2・周辺環境

環境条件

◆ 方位
・北側斜線制限の影響を受けそうな部分を確認する。
・北側隣地が自敷地より高い場合、斜線制限の緩和が可能か確認しておく。

◆ 日照
・隣家の状況を確認した上で、建物や主要居室の配置を想定する。
(例えば、西日を避けるという観点も必要となる。)
敷地内の日当たりの良い場所を確認する。
(調査時の季節と時間を加味する。)
隣家の日照確保の状況を確認する。
(意図的な日照妨害と誤解されないような配慮が必要である。3 階建てを計画する場合は、特に注意する。)

◆ 排気
・隣家のエアコン室外機、給湯器、換気扇等の位置を確認する。

◆ 通風
・敷地内の風通しの良い場所を確認する。

◆ 騒音
・近隣に工場や商店街、パチンコホール等の有無を確認する。
隣家のエアコン室外機、給湯器、楽器演奏等の騒音発生源を確認する。
・通過交通による騒音状況を確認する。

隣人の騒音に悩む人のイラスト

◆ 振動
・通過交通(車、鉄道、飛行機)等による振動を確認する。
・近隣の工場等による振動源の有無を確認する。

※振動による不快感は大きな問題となりうる。
 建物の上階ほど振動は大きくなる。
 また、建物の重量によっても大きく違ってくる。
建替の場合は既存建物との違いを考慮し、新築・住み替えの場合は、施主に振動の可能性について充分理解していただく必要がある。

街並み

◆ 周囲の街並み(建物の向き、屋根並み、グレード等)
・例えば、建物の方位軸(向き)が周囲と異なると、街並みを崩す要因となるので、現地で建物と外構計画をイメージしておくと良い。

道路

◆ 車の乗り入れ
・交通量を確認し、車の出入りに際して安全が確保できる駐車スペースやレイアウトを想定する。
道路勾配を確認する。
歩道の切り下げや街路樹、ガードレールの位置を確認する。

◆ 電柱・標識等
支柱や支線とともに、その設置位置が計画に影響しないか確認する。
標識やカーブミラーが計画に影響しないか確認する。
(計画によっては、費用や期間を踏まえて、移設を検討する。)

電柱のイラスト(1本)

3・生活環境

プライバシー

◆ 隣家との視線
隣家から見られたくない部分(リビング、ダイニング、プライベートルーム、脱衣所、主庭、物干しスペース等)が見られないか、また、こちらから見えないか確認する。

◆ 道路からの視線
道路から敷地内がどの様に見えるか確認する。
→どこが物干しスペースに最適か等を確認する。

眺望

◆ 眺望
・リビングやバルコニーをはじめ、主要居室からの眺望を、観賞の視点より想定してみる。(花火や景観など)

防犯・災害

◆ 防犯
・不審者の侵入経路になりそうな部分に見当をつける。
・夜間の防犯効果が期待できる街灯の有無を確認する。

防犯カメラに驚く泥棒のイラスト

◆ 災害
・火災等の際の避難経路を確認する。
・地震の際、隣家や土留、塀等が倒壊しないか確認する。
・大雨などの際、土留めが崩壊しないか確認する。
・可能であれば、過去の浸水状況を確認する。

参考/近隣とのコミュニケーション
現地調査の際、近隣の方とコミュニケーションを図ることで、防犯に対する地域の取り組み等の情報を得られることもある。

4・施工上の注意点

図面に描くだけでは当然ながら家は建たない。

実際に建てるにあたって、施工上、支障がないか確認しておくことも、問題点を早期発見するのに大切である。(判断の難しい場合は、施工担当者が直接現地を確認する。)

搬入・施工

◆ 搬入・施工
・現地までの道路は重機・建設資材等の運搬が可能か確認する。
・施工に必要な重機が敷地へ搬入(高低差・既存外構)可能か確認する。
・上空障害となる電線等を確認する。

トラックのイラスト(車)

安全

◆ 安全
・通学路等にあたる場合は、登下校時の配慮を申し送りする。

まとめ

自分たちが暮らしやすい住宅を作るためにはその暮らしに見合った土地探しをマスターし、それを手助けできる信頼のある不動産業者を探すことが大切です。
要するに、「暮らしやすい住宅」=「土地」です。
間取りの提案を見る前に土地の基本を理解すれば、暮らしやすい間取りを検討する事も出来ます。

最後に、ご紹介した内容をおさらいしてきましょう。

① 敷地の特性の中で変更できない制約(法規等)は正しく把握し、
住み難さにつながる可能性のある制約はできるだけ軽減しましょう。

魅力は活かして計画することが大切です。
敷地の何が制約や魅力となるのかを正しく整理しましょう。

③ 敷地条件を整理するために、まずは敷地を正しく把握することが重要です。

ご紹介した内容を考えるれば、初心者の方でも土地の見え方が変わります。

事前の知識を入れたら自分で探す+不動産業者、ハウスメーカー営業から紹介してもらいましょう。

どこから手を付けたらいいかわからないという方はもっと詳しく土地探しのアドバイスを受けましょう!

タイトルとURLをコピーしました