省エネで健康的な暮らしを実現する温熱環境の基礎知識

重要な理由①
体温が適切に維持できないと健康を損なうばかりか、熱中症、低体温症などによって死に至ることもある。

体温の維持は、人間にとっては生存に関わることであるから、住まいにおいても適切な温熱環境をつくりだすことは、ヒートショックなどを防止し、健康で快適な生活の維持につながるものである。

重要な理由②
地球温暖化などの環境問題の対策として、省エネルギーが叫ばれている。

かつてはエネルギーを大量に消費することによって温熱環境を向上させていたが、現在はエネルギー消費の抑制に加え、エネルギーを創出しながらよりよい環境をつくる方向に転換している。

温熱環境を向上させ、エネルギーをコントロールすることは環境問題の改善につながるのである。

温熱環境に関する基礎知識

人が感じる温度の要素

人が感じる 温度の要素には、「環境側の要素」「人体側の要素」がある。

天気予報では、その日の最高気温や最低気温の予測がなされるが、それだけを指標として服装を選んだら、実際は、暑かったり、寒すぎたり感じることがある。

実際に人が感じる温度は、「環境側の要素」である気温・輻射・湿度・気流に加え、「人体側の要素」である、そのときしていることの代謝量や、着ている物なども影響する。

住宅の計画段階において温熱環境を考慮するときは、「人体側の要素」は未知数であるため、気温・輻射・湿度・気流という4つの「環境側の要素」を主体に検討することになる。

温熱環境の4つ の要素

温熱環境の4つの要素は次のようなイメージでとらえられる。

住宅に求められる 6つの温熱性能

4つの環境の要素と、住宅に求められる6つの温熱性能の関係は次のようになる。

これら6つの住宅性能はそれぞれが独立で機能するのではなく、相互に関連し合って「ひとつの温熱環境」を生み出す

【不快指数】
人の感じる温度(体感温度)と実際の温度は異なっているので、温度計で測った数値としての温度は、人を取り巻く環境の快適さを生み出す指標とはならない。

そこで、人の感覚にあった尺度が工夫されてきました。そのひとつに不快指数があります。不快指数とは蒸し暑いときの不快感を示すものです。

不快指数は米国気象台が夏季の蒸し暑さの判定用に開発した指数であり、冷房の必要性の目安と考えればよいでしょう。日本では不快指数77で半数の人が不快、86で全員が不快と感じると言われています。

断熱の目的

断熱の目的

1) 快適性の向上と健康の維持

室内の温度差 を減らし、住まい全体の温度を均一化することによって、ヒートショックなどを防止し、健康で快適な居住空間を得る。

2) 省エネルギーと地球環境の保全

冬期は室内から室外に逃げる熱を抑え(暖房負荷の低減)、夏期は室外から室内に流入する熱を抑え(冷房負荷の低減)、暖冷房のためのエネルギー消費を抑える。

ひいては二酸化炭素の排出抑制、地球温暖化の防止などに役立つ。

3) 結露の防止

室内や壁内部等での結露発生を抑え、結果としてカビやダニによる人体への影響を軽減し、健康的な生活環境を実現すると同時に、建物の耐久性を向上させる。

断熱性が悪いと…

結露とは

結露とは、冷たい液体を注いだコップの周りに水滴がついたり、風呂の天井から水滴が落ちてきたり、窓ガラスに水滴が付いたりするなど、暖かい湿った空気が冷たいものに触れたとき、水蒸気が凝結して水滴になる現象。

飽和水蒸気量と露点温度】
・飽和水蒸気量
空気が含むことができる水蒸気の量には、限界がある。これ以上含むことのできない状態を飽和状態という。

そのときの水蒸気の量を飽和水蒸気量、圧力を飽和水蒸気圧という。温度が高いほど 、たくさんの水蒸気を含める(つまり飽和水蒸気量は温度が高いほど多い)。
塩や砂糖が、水の温度が高いほどたくさん溶けることと同様の現象である。

・露点(露点温度)
水蒸気を含む空気を冷やしていくと、気温が高いうちは、すべて水蒸気のままでいられる。しかし、さらに気温が下がりその空気が含んでいる水蒸気が飽和に達すると、水蒸気は凝結をはじめて、ものの表面に水滴としてつくようになる。

この水滴ができ始める気温(水蒸気の量が飽和状態になるときの気温)を露点(露点温度)という。
例えば、右図で、気温A の空気に、点線 で示す量の水蒸気が含まれていたとする。この空気の温度を下げていくと、気温 B で水蒸気が飽和に達する。この B がこの空気の露点となる。さらに気温を C まで下げると、飽和水蒸気量以上の水蒸気(実線部分)は、液体の水となり、これが結露の原因ともなる。

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