【住宅検討する前に】住宅の機能(耐久性・美観)に関する劣化

住宅機能上の劣化

人々の生活はどんどん変化する。
この 30 年間だけを見ても、ライフスタイルや日常生活で使う物品は大きく変化している。

変化に対応できないこと、対応しにくい状態になることが、機能上の劣化である。

タタミの部屋をふすまで仕切って、ちゃぶ台などの可動家具を使って、空間形態そのものを変化させていたかつての日本の住宅は柔軟性に優れていた。

しかし、ライフスタイルの変化による必要諸室の変化、あるいは、耐震性、空気環境、温熱環境など要求されるスペックの変化により、かつての日本の住宅タイプでは現代の多様化した生活を受け入れにくくなっている。

もちろん生活行為に対応して空間や設えを変化させるというアイディアは生きているし、参考にすべきである。

現代の住宅においても、ライフスタイルや物品の変化に対応して、空間そのものを可変できるようにしておけば、機能上の劣化は防げる。

具体的には、日常的に空間そのものを変化させる可動間仕切りや可動家具を用いるアイディアもあるし、家族構成の変化に合わせてリフォームしやすくしておくアイディアもある。

耐久性の観点から見たSI 発想

SI(スケルトン・インフィル )住宅とは、元々、建物のスケルトン(柱・梁・床等の構造躯体)インフィル(住戸内の内装・設備等)とを分離した工法による共同住宅を指していたが、今では戸建て住宅においても用いられるようになっている。

◆スケルトンは長期間の耐久性(=建物の耐久性)を重視
◆インフィル部分は住まい手の多様なニーズに応えて自由に変えられる可変性(=機能上の耐久性)を重視

一般の在来木造住宅の場合は、耐震性を高めるために多くの柱と筋交いや耐力壁が必要になり、間仕切り壁も構造体の一部として設計しなければならず、変化に合わせた間取り変更などは難しかった。

【スケルトン・インフィルの考え方を活用すると】
内外装・設備・間取りが干渉することのない耐久性の高い構造体をつくることができる。また構造を気にせず自由にインフィル部分の変更を行うことができるようになり、家族構成の変化などのライフスタイルの変化に合わせられる長く暮らせる住宅をつくることができる

美観上の劣化

美観は、単に「きれいに見える」という現象で捉えるべきことではなく、「我が家」への愛着、また、美観上好ましい家がある「まち」に対する愛着という、心のあり方につながるものとして捉えるのが望ましい。

したがって美観という観点においても、永く耐えうるのがよい。美観の劣化とは、「見た目が美しくなくなる」ことにより起こる。その原因としては、下記の2 点が大きい。

1)外壁、屋根、外構の素材など、外部に露出する部材の傷みや汚れ。
2)デザインそのものの古び。


1)については、耐久性の高い素材の使用や定期的なメンテナンスが対策となる。
もちろん、日常的な樹木の手入れや、清掃も重要である。

2)については、人々のデザインに対する感覚は流行にも左右されることから、これだ、という対策はない。むしろ、設計に対する姿勢やスタンスが問題となる。

劣化には、化学的変化によるもの、②物理的変化によるもの、③生物的作用によるものの3つがありますが、実は、もうひとつの劣化があります。

それは④社会的劣化です。

住宅の社会的劣化とは、シェルターとして充分機能していても、日常生活でのさまざまな社会的要求に対応できない場合、社会的に劣化していると言えます。

社会的劣化という言葉はあちらこちらで聞かれるようになっていますが、人によってニュアンスが異なっているのが現状です。

明確に分けることは困難ですが、住まい手や家そのものと、それらを取りまく社会の関係から捉えられる劣化と位置づけましょう。

たとえば、犯罪増加に対して、あいさつ運動などで近隣の絆を強め、コミュニティとしての防犯力を高めようとしたら、それは犯罪増加を社会的劣化と捉えた対策であり、防犯設備を取り付けて家の防犯力を高めたら、それは犯罪増加を機能的劣化と捉えた対策と言ってもよいでしょう。

ただし、分けることには大きな意味がありません。
結果として対策がなされることが重要だからです。

ところが、一筋縄でいかないのが、デザインの古びです。

人々のデザインに対する感覚は流行にも左右されることから、これだ、という対策はありません将来の変化を見通すことも困難なので、予防も困難です。

情報の増加、価値観の多様化、趣味や嗜好の幅の広がりによって、商品のバリエーションも増え、デザインに関する選択肢が増えていますが、その選択肢が高まったかというと、決してそうではないことを現実の町並みが物語っているでしょう。

どうすればよいかという答えがある問題ではありませんが、どんな人もすっとなじめて愛着がわくようなデザインができればベターなのでしょう。

数十年経過したときに、「古ぼけてみすぼらしい」ではなく、「味がある」とか「風格がある」と評価されるようなデザインとなってくれれば、社会的劣化に対して強いと言えるでしょう。

難しいことですが、そのようなデザインを目指そうという姿勢だけ必要です。

品確法

品確法において、耐久性については「3.劣化の軽減」「4.維持管理への配慮」が関与する。

劣化の軽減(構造躯体の耐久性)

構造躯体等に使用する材料の交換等大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要
な対策の程度、つまり、柱・はりなどに使用する材木の腐食、鉄の錆など建物の劣化のしにくさであり、大規模改修までの期間の目安が等級により示される。

維持管理への配慮(配管のメンテナンス)

専用の給排水管及びガス管の維持管理(清掃、点検及び補修)を容易とするため必要な対策の程度、つまり、水道・ガスなどの配管の点検・清掃・修理のしやすさが等級で示される。

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